未来ある山梨の子供たちのために!!

山梨県議会(令和4年6月定例会)・代表質問

1.次世代アスリートの発掘、育成について

 昨年、コロナ禍という大変困難な状況の中で、一年間の延期を経て、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されました。無観客での開催など、これまでに経験したことのないさまざまな制約がありましたが、世界中のアスリートたちが国の威信を背負い、ひたむきに勝利に向かい競技に取り組む姿勢は、日本だけでなく世界中の人々に歓喜と感動を届けてくれました。

 

 特に、レスリング男子フリースタイルで見事に金メダルを獲得した乙黒拓斗選手、同じくレスリングの男子グレコローマンスタイルで銀メダルを獲得した文田健一郎選手、卓球女子団体で銀メダルを獲得した平野美宇選手など、本県出身選手の活躍は、長引くコロナ禍で疲弊した県民の皆様に希望と活力をもたらすとともに、将来、アスリートとして活躍を夢見る若い世代への大きなインセンティブになったものと思います。

 

 このように、郷土出身の選手が世界を相手に活躍することは、県民のスポーツに対する関心がより高まるとともに、若い世代への刺激となり、世界で戦えるアスリートが育つという好循環を生み出すものと私は考えております。

 

 昨年の東京オリンピックでは、三十三競技、三百三十九種目が行われました。私は、この好循環を多くの競技で生み出すことが必要だと考えておりますが、現在、子供たちはサッカーや野球、バスケットボールなど競技人口の多い競技に集中しがちです。

 

 私は、高校時代にウエイトリフティングに出会い、練習を繰り返していく中で、全国大会で勝利を意識できるレベルにまで上達し、平成八年の全日本選手権で優勝を勝ち取ることができました。これだけの活躍ができたのは、私の適性を見出してくれた人がいてくれたからこそだと考えています。

 

 将来、トップアスリートとなる優秀なジュニア選手を発掘、育成していくためには、単に底辺の拡大を図るだけでなく、子供たち自身が自分の適性を知り、それを最大限に発揮できる競技へと導いていくことが必要ではないかと考えます。

 

 そこで、県では、将来活躍が期待され、県民の希望の星となる次世代アスリートの発掘、育成をどのように進めていくのか、所見を伺います。

(長崎知事)

 本年三月に行われました全国高校ウエイトリフティング競技選抜大会で、県代表の選手二人が優勝を果たすなど、本県はウエイトリフティング王国として、長年全国トップクラスの実力を維持してきております。

 

 これは、議員を初めとした高いレベルの選手の活躍が、若い世代を刺激し好循環を生み出してきた結果であり、アスリートの発掘、育成強化の重要性は、私も議員と思いを同じくするところであります。

 

 県では、これまで、全国レベルの大会で活躍できる選手を発掘、育成するため、各競技団体が行う小中学生をターゲットとした練習会、合宿及び指導者養成への支援を行ってまいりました。

 

 しかしながら、競技団体単位では他競技への適性を見出すことは難しいことから、本年度から新たに体力測定や体験教室を通じて選手の能力や資質を見極め、適性に応じた競技につなげるための合同発掘プランを開始することといたしました。先月には、競技団体に加え、大学教授、スポーツドクターなど多方面の専門家による運営委員会を設立し、スポーツタレントの発掘、育成システムの構築に着手したところであります。

 

 本年度は、神経系の発達が著しい、いわゆるゴールデンエイジと呼ばれる小学校五年生を対象に、複数競技の体験や合宿を行うとともに、保護者へはスポーツ栄養学に対する理解促進を図ることとしております。

 

 こうした取り組みによりまして、優れた資質を持つアスリートを潜在化させることなく、多くの競技で県民の誇りとなる、世界で活躍できるトップアスリートの育成へとつなげてまいります。


2.性の多様性が尊重される共生社会の推進について

 

 少子超高齢社会を迎えた我が国が、活力を維持し、今後も発展を続けていくためには、女性、高齢者、外国人、性的少数者、障害者をも分け隔てなく一人一人が能力を発揮できる全員参加社会の実現、いわゆるダイバーシティの推進が重要であります。

 

 しかしながら、我が国の多様性社会への適応は、いまだ途上であると言わざるを得ません。特にLGBTQ、性的少数者の方々への関心は高まりつつあるものの、理解が進んでいるとは言いがたく、それは本県においても同様です。

 

 こうした中、私は昨年の九月議会において、性の多様性が尊重される社会の実現に向けた取り組みについて質問しました。その際、知事は「厳しさを増す地域間競争を勝ち抜くためには、ここ山梨県が、多様な人材や才能が集まる地となる必要があり、そのためには性的少数者の方々も暮らしやすい地域に生まれ変わることができるかどうかが試金石になる」との認識を示されました。私もこの考えに大いに共感するものであり、その具体化に大変関心を持って見守ってまいりました。

 

 昨年度は、当事者や弁護士、有識者などからなる多様性を尊重する山梨検討会において、現状や課題の把握、取り組むべき施策の検討が行われてきたと承知しております。

 

 また、本年度は、共生社会の推進に取り組む体制を強化するため、男女共同参画・共生社会推進統括官を新たに設置されました。知事の有言実行の姿勢に敬意を表するとともに、性の多様性が尊重される共生社会の実現に向けて取り組みが進むものと期待しているところであります。

 

 私ども県議会といたしましても、多様性を認め合い共生社会を目指すための条例制定を視野に、先般、委員会を設置したところであり、私も委員として幅広く議論してまいりたいと考えております。議会と執行部とが、まさに車の両輪としてこの問題に取り組むことで、社会の変革という困難な課題に挑んでまいりたいと考えております。

 

 そこで、性の多様性が尊重される共生社会の推進について、県では今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。

(長崎知事)

 ますます厳しさを増す地域間競争を勝ち抜くことは、将来にわたって山梨が存在し続けるための必須条件だと考えています。

 

 そのためには、ここ山梨という地が、多様な人々が集い、互いの可能性をぶつけ合い、さらなる付加価値を生み出す「人材のるつぼ」となる必要があります。

 

 このため、誰もが個性や能力を生かし活躍できる共生社会の実現に向けまして、先般、男女共同参画・共生社会推進本部を立ち上げ、本年度中にその推進のための基本方針を策定することといたしました。

 

 また、昨年度の多様性を尊重する山梨検討会での「問題に無関心であるがゆえに、無意識のうちに加害者となっていることがあり、啓発活動が最も重要」といった議論を踏まえ、本年度は性の多様性に関する理解促進に取り組むこととしています。

 

 具体的には、当事者が生きづらさを感じる機会が多いとされる学校や企業において、その理解が進むよう、教員や人事担当者などに対し、性の多様性に関する普及啓発を図ってまいります。

 

 さらに、検討会でのパートナーシップ制度の導入についての御意見を踏まえ、秋口には有識者を交えた研究会を立ち上げるべく、まずは推進本部内にワーキンググループを立ち上げ、制度の研究を行ってまいります。

 

 県議会におかれましては、共生社会を目指すための条例案作成委員会を設置したとのことであり、県を挙げてともに取り組むことで、性の多様性が尊重される共生社会の実現が加速化するものと考えております。


3.ヤングケアラーへの支援について

 昨年四月に国が公表した調査結果において、一クラスに二人程度のヤングケアラーが存在することが明らかにされ、社会に衝撃を与えたことは記憶に新しいところであります。最近では、メディアがその実態を収録した特集を組み、またユーチューブやフェイスブックでも関連する投稿がふえるなど、社会的な関心度が高まりつつあると感じております。

 

 こうした中、国では、本年度から令和六年度までの三年間を集中取り組み期間と位置づけ、中高生のヤングケアラーへの認知度向上を目指し普及啓発を推進するなど、ケアラーの早期発見や支援体制の整備を行うこととしています。

 

 本県においては、昨年度、小学校六年生以上の全ての児童生徒に対し実態調査が行われました。

 

 また、国の取り組みに先駆けて、子供からの相談を促すための啓発動画や啓発カードの作成、県民向けの動画による講座の提供などにより、ヤングケアラーへの理解を促してきたものと承知しております。

 

 また、支援を行う関係者の共通認識を深め、ヤングケアラーとその家族への支援を推進するためのガイドラインも策定されました。新たに顕在化した社会的な課題に対し、スピード感をもって果敢に取り組む姿勢を高く評価するものであります。

 

 こうした取り組みを通じ、ヤングケアラーの問題が、学校や関係機関はもとより、広く県民からも認知され、県内で支援のネットワークが広がっていくこと、そして、ケアラーとその家族の心身の負担が軽減されていくことを大いに期待しております。

 

 一方で、家庭内の問題に介入することには困難が伴い、実情の把握にも制約を受けざるを得ないことから、適切な支援に結びつけられないのではないかと懸念されます。ヤングケアラーに対する具体的な支援を充実させるためには、介護や福祉、医療、教育などさまざまな分野の関係者が連携し、それぞれの専門性を生かしつつ、本人や家族に配慮したきめ細かな対応が求められると考えます。

 

 そこで、ヤングケアラーの問題に対する認知度をさらに高め、社会全体で子供やその家庭を支える支援体制を整えていくために、県では今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。

(長崎知事)

 私は、山梨県の子供たちが将来への希望や期待を大いに抱き、また、その実現に向けて挑戦できるよう最大限の積極的対応に努めております。

 

 昨年度は、ヤングケアラーへの理解を促す普及啓発や関係機関で構成するネットワーク会議の設置を初め、早期発見のためのアセスメントシートを示したガイドラインを全国に先駆けて策定するなど、包括的な支援の仕組みを構築してまいりました。

 

 しかしながら、本格的な支援の実施に当たりましては、中核となる人材が適切な支援につなげる体制や子供が自分の思いを発信しやすい環境のさらなる整備が必要となっています。

 

 このため、ヤングケアラーやその家族と支援機関等をつなぐコーディネーターを市町村が配置できるよう、専門的知見を有する人材の育成に着手したところであります。

 

 また、支援のおくれは、子供の将来に深刻な影響を及ぼすこととなるため、コーディネーターが配置されるまでの間、支援機関への指導や助言を行う専門家を県に配置し、早急に手を差し伸べる体制を整備してまいります。

 

 さらに、ヤングケアラーとしての経験を有する当事者が、継続して学校を訪問し体験談を伝え、子供の気持ちと向き合うことで相談しやすい環境を整備するとともに、同じ境遇の子供同士で悩みや経験を共有できる集まりの場やSNSを活用した相談窓口も設置いたします。

 

 こうした取り組みに加えまして、複数のメディアを活用した広報やフォーラムを開催することにより認知度のさらなる向上を図り、社会全体で子供や家庭を支援する体制を構築してまいります。


4.妊娠・出産への支援について

 先般、五月五日の「こどもの日」を前に国が公表した十五歳未満の子供の数は、令和四年四月一日時点で前年より二十五万人少ない一千四百六十五万人と、四十一年連続で減少し、過去最少を更新しております。

 

 本県においても、統計が公表されている範囲で比較すると、令和三年の出生数は、前年同期に比べて二百十九人、約四%も減り、十一年連続の減少となりました。長期化する少子化傾向に歯どめをかけるためには、これまで以上に、妊娠・出産の希望がかない、安心して子育てができる環境を整えることが必要となります。

 

 こうした中、本年四月から、経済的負担が大きい体外受精や顕微授精等の不妊治療への保険適用が開始されております。国の調査では、不妊の検査や治療を受けたことがある、または受けている夫婦は五・五組に一組となっており、保険適用外の先進医療の取り扱いなど課題はあるものの、今回の保険適用は、子供を欲しいと願う方々の経済的負担の軽減に大きな一歩を踏み出したものと考えます。

 

 不妊治療の保険適用も踏まえ、本県においても、今後さらに不妊治療を受けやすい環境の整備を進めていくことが必要であると考えますが、県の所見を伺います。

 

 また、不妊治療への支援とともに妊娠中や産後の支援も重要な課題であります。

 

 私にも二人の子供がおりますが、出産・育児は大変だという思いだけでなく、楽しいものだという気持ちを持てることが大切だと感じております。子供を授かってからも、心身ともに不安定な時期を過ごし、さらに、その後の育児の負担感から、二人目や三人目の子供を持つことを諦める場合もあり、出産や育児に対する切れ目ない手厚い支援が必要ではないかと考えます。

 

 本県では、産前産後ケアセンターでの宿泊型産後ケア事業等を通じて妊産婦への支援が実施されていることは承知しておりますが、ここ数年は新型コロナへの感染に対する不安もあり、妊産婦の孤立感や負担感は増しているように思います。

 

 こうした中、妊産婦の支援体制のさらなる強化が必要と考えますが、県の所見を伺います。

(長崎知事)

 少子化が重大問題となっているもとにおきまして、妊娠・出産の希望がかなうようサポートすることは極めて重要であります。少なくとも、希望出生率一・八をかなえることは喫緊の課題であり、さらにその向上を目指すには、妊娠・出産の希望を阻む障壁を取り除くことがまず重要となってまいります。

 

 このため、不妊治療を受けやすい環境整備に関しまして、不妊治療に係る精神的・経済的負担を軽減するため、県におきましては、不妊に悩む方への相談窓口を設けるとともに、特定不妊治療である体外受精・顕微授精や不妊症検査などに対する助成を行ってまいりました。

 

 また、本年三月には、県内で不妊治療を受けやすい環境を整備するため山梨大学と協定を締結し、受精卵を育てる専門人材である胚培養士の育成への支援を開始したところです。

 

 こうした中、特定不妊治療への保険適用が開始されましたが、まずはその影響をきちんと把握するため、今般、調査に要する経費を計上したところであります。

 

 その上で、議員御指摘の先進医療も含めまして、さらなる支援策の検討を進めてまいります。

 次に、妊産婦への支援の体制につきましては、産後鬱などのおそれがある妊産婦を迅速かつ円滑に専門医につなぐとともに、心身のケアに携わる専従の看護職を山梨大学医学部附属病院に配置し、本年四月から支援を開始いたしました。

 

 さらに、新型コロナウイルス感染症への対応として、妊産婦が罹患した場合のみならず、感染に対する不安を訴えた場合におきましても、助産師などが御自宅を訪問し、一人一人に寄り添う体制を整備したところです。

 

 今後も引き続き、産前産後ケアセンターでの支援や二十四時間の電話相談などきめ細やかな対応のほか、育児疲れの母親がリフレッシュできるレスパイトケア事業の本格導入に向けた検討を行うなど、妊産婦の支援体制の充実・強化に取り組んでまいります。


5.円安傾向を追い風とした県産ワインと日本酒の輸出促進について

 長引く新型コロナウイルス感染症の影響から、飲食店での県産酒の消費量は長期にわたって低迷しております。加えて、ウクライナ危機等により資材費や輸送費が高騰し、県内のワイナリーや酒蔵など酒類製造業界では、コストの増加が追い打ちをかけ、これまでにないほど苦しい状態が続いております。

 

 このような中、本年七月に、三年ぶりに日本ワインコンクールが開催される運びとなったと聞き、大変うれしく思っております。私は、県産酒の消費量をふやしていくためには、そのおいしさを知らない人たちにいかに飲んでもらいファンになってもらうかが重要だと考えています。

 

 当コンクールでは、これまで数多くの県産ワインが受賞しておりますが、その注目度は高く、全国における認知度向上と販売促進につながることから、今回もより多くの県産ワインが受賞し消費拡大に弾みがつけばと期待をしているところであります。

 

 さらに、海外に視野を広げてみますと、アルコール飲料の市場規模は世界全体で百兆円を超えており、大きな可能性を秘めています。ここ数年、国産酒類の輸出は大きく伸びており、二〇二一年には初めて一千億円を突破し、約一千百四十七億円となっています。世界的な和食の人気の高まりとも呼応し、特に日本酒の知名度は上昇しておりますが、海外において県産酒類の認知度向上策を講じることにより、さらなる輸出拡大が期待できるものと考えます。

 

 折しも昨日、二〇〇二年四月以来、二十年二カ月ぶりに一ドル百三十三円となるなど、このところ急ピッチで円安が進んでおり、経済活動には弊害も少なからずある一方、輸出企業にとっては好機と捉えています。

 

 二〇一一年十月の一ドル七十五円三十二銭の戦後最高値と比べれば、現在の水準は、海外の消費者にとって三分の二程度の価格で県産酒を購入できる環境であることから、国内の生産者にとっては価格競争力が高まり、海外との取引拡大が期待できる極めて有利な状況になっています。

 

 そこで、円安傾向を追い風として、この機会に県産ワイン、日本酒の輸出拡大に積極的に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。

(長崎知事)

 本県は、平成二十五年にワインにおける地理的表示、いわゆるGIの指定を国内で初めて受け、さらに昨年四月には、日本酒でも指定を受けたことによりまして、全国で初めて複数のGIを持つ県となりました。

 

 御指摘のとおり、国内における県産酒の消費が落ち込んでいる中、国際的に通用するGIの指定と最近の円安傾向という二つの追い風を最大限に生かし、輸出拡大につなげていきたいと考えております。

 

 まず、ワインにつきましては、世界のワイン情報発信基地ロンドンでのプロモーションによりまして、ワイン関係者間で認知度が高まっていることから、引き続き産地組合を支援し、さらなるブランド力強化を図ってまいります。

 

 加えて本年度は、その成果をワイン需要の増加が見込めるアジア地域にも波及させていくため、バイヤーを対象としたテイスティングセミナーの開催を支援し販路拡大を図っていくこととしております。

 

 日本酒につきましては、愛飲者がふえている香港、中国のバイヤーを対象とした試飲展示会の開催や外国人インスタグラマーを活用した情報発信など、産地組合が行う海外プロモーションを新たに支援し認知度向上を目指してまいります。

 

 また、国際コンクールへの参加費用を助成することにより積極的な出品を促し、県産酒の受賞数の増加を図ることで高品質な産地としてのブランド力を高め輸出促進につなげてまいりたいと考えております。

 

 こうした取り組みに加え、富裕層をターゲットとした日本酒・ワインの試飲展示会や商談会を開催するなど、国の内外を問わない県産酒のプロモーションを積極的に支援してまいります。


6.県内企業の人材不足への対応について

 山梨労働局の公表資料によると、本県の有効求人倍率は、新型コロナウイルスの影響により、一昨年の八月には〇・九二倍まで落ち込みましたが、九月以降は上昇傾向となり、昨年三月からは全国の有効求人倍率を上回って推移しており、感染症の影響が生じる前の水準には戻っていないものの、改善が進んでいます。

 

 新規求人数は、半導体、電子部品、生産用機械を中心とした製造業、宿泊業や飲食サービス業等観光関連の産業で増加し、三月には過去最高の七千百十人に達したところであり、求職者数が一定程度にとどまる中、求人の伸びが本県の有効求人倍率を押し上げていると考えられます。

 

 一方、帝国データバンク甲府支店が一月に行った調査によると、回答のあった百十八社の五一・八%に当たる五十九社において正社員が不足しているとしており、県内企業の人手不足感は、平成十九年の調査開始以降、昨年十二月に次いで過去二番目に高い水準となっています。

 

 実際に、私の知人の、ある企業経営者からは、優秀な人材を採用しようとハローワークだけでなく有料人材紹介サービスも利用して探しているが、なかなか思うように人材が確保できないとの話を聞いております。

 

 県内には、技術力を持ち、収益力の高い企業が数多くあり、社員が多様な働き方を通じて活躍できるワーク・ライフ・バランスの実現にも積極的に取り組んでいますが、その一方で、多くの企業が人材の確保に苦労されている状況にあります。

 

 過日放送されたNHKの特集番組では、就職して間もない若手社員の意見を取り入れてホームページを見直したり、SNSを活用したりといった工夫を凝らして自社の魅力を発信したところ、応募者が増加して人材確保につながったといった事例が紹介されていました。企業が優秀な人材を確保していくためには、その魅力やすばらしさを相手に知ってもらうことが重要であり、そのために企業の技術力や業績、職場環境づくりなどを効率的に情報発信していくことが必要と考えます。

 

 県では、労働局やハローワークと連携して企業の人材確保に取り組んでいると承知しておりますが、県内企業の人材不足にどのように対応しているのか伺います。

(長崎知事)

 企業が優秀な人材を確保していくためには、企業に関する情報の効果的な発信及び地域産業が必要とする人材の掘り起こしの両面から取り組んでいくことが重要です。加えまして、賃金水準の向上を含め企業自身が魅力ある職場づくりに注力していくことが必要不可欠です。

 

 まず、企業情報の発信に関しましては、県が立ち上げている就職支援サイトにおきまして、企業の基本情報、世界的シェアあるいは独自技術といった強み、働きやすい職場づくりへの取り組みなどを積極的に紹介していきます。

 

 また、求職者が自分に適した仕事や企業を見つける機会としてオンラインによる企業研究フェアを開催し、多彩な事業活動や社員がやりがいを持って生き生きと働く姿を動画を交えて情報発信してまいります。

 

 今後は、企業みずからがその特徴を生かした効果的な情報発信を行えるよう、担当者向けのPR力向上セミナーを開催し、求職者の関心を引き寄せるプレゼンテーション手法などの習得を支援してまいります。

 

 次に、人材の掘り起こしに関しましては、都市部から本県への人材還流を促進するため、やまなし産業支援機構内にプロフェッショナル人材戦略拠点を設置し、企業ニーズに対応する専門人材の確保を進めています。

 

 専門人材が不足する中、昨年度までのマッチング実績は、目標の百六十人を上回る二百三十一人に達し、高い能力や経験を活用して、生産管理などさまざまな分野で活躍が期待できる人材の確保に一定程度実現をしている次第であります。

 

 さらに、求職者の職業選択の決め手となります賃金水準の向上に向けまして、この五月、労使の共益関係を育むことを目的とする豊かさ共創会議を設置しました。この会議を通じまして、働き手のスキルアップを支援して生産性と収益性を高め、その成果を賃上げにより働き手に還元するという好循環を生み出すための仕組みを構築していくこととしております。

 

 今後は、県として二拠点居住の適地としての優位性などを生かし、副業や兼業といった多様な働き方の推進を図るなどを通じまして、企業活動の要となる人材を確保すべく取り組んでまいりたいと考えております。


7.安全に自然環境を楽しめる観光施設の整備について

 ことしのゴールデンウィークは、新型コロナウイルス感染症が現れてから初めて行動制限がかからない中で迎えることができました。

 

 県内の観光地も、県内外からの観光客でにぎわい、飲食店や宿泊施設など観光産業に従事される皆様には、今後の先行きを心配しながらも、この期間に限っては安堵のため息をつかれたことと拝察しております。

 

 感染リスクの小さいアウトドアでの活動への人気が高まる中、私の地元、峡東地域におきましても、大菩薩嶺、あるいは西沢渓谷などにおいて、行楽客やハイキングを楽しむ登山客などでにぎわいを見せました。東京圏のすぐ近くにあるすばらしい自然環境というものは、本県が誇る最強の観光資源の一つであり、今後も山梨の強みであり続けるものと確信しております。

 

 一方、自然は優れた景観で人々を楽しませてくれる反面、時に災いをもたらす、危険で壮大な存在であることを忘れることはできません。このため、自然に親しんで観光を楽しもうとする人々のリスクへの最大限の配慮は常に欠かせないと思います。そのために重要なのが、人間と自然との接点となる遊歩道など観光施設であります。

 

 近年も全国で道迷いや滑落といった観光地における事故が後を絶ちませんが、観光客が死傷する重大事故が発生した場合、そして、それが観光施設の不備に起因するものであった場合には、観光地のイメージダウンなどの損失は甚大なものになりかねません。

 

 観光客の誘致に取り組む山梨県として、観光施設の着実な整備により来訪客の安全を守ることは重要な責務であると考えます。

 

 環境省が所管する自然公園等整備事業なども十分活用しながら、自然を安全・快適に体験できる環境整備を計画的に進める必要があると考えますが、県の取り組みについて伺います。

(観光文化部長)

 本県のすばらしい自然を安心して楽しんでいただくためには、観光施設における災害や事故のリスクを可能な限り軽減させることが重要であると考えております。

 

 このため県では、国立公園内の遊歩道など県管理の観光施設について、日常的に管理を行い、随時、補修を行うとともに、大規模な改修につきましては、国の交付金を活用し計画的に実施しております。

 

 国の交付金を活用した事業といたしましては、近年では、平成三十年度から令和元年度にかけて三ツ峠歩道、令和元年度から二年度には白根山系縦走線歩道の整備を行っております。さらに令和三年度からは、西沢渓谷の二俣つり橋の補修及び美し森歩道の整備を行っており、本年度からは、令和二年度に損壊した西沢渓谷滝見橋の本復旧工事に着手することとしております。

 

 また、市町村が管理する遊歩道等につきましても、富士の国やまなし観光振興施設整備補助金により、補修などに対し支援を行い、観光客が安心して楽しめる受入れ環境の充実に取り組んでいるところでございます。

 

 さらに、インバウンド観光の再開に向けて設置した、地域の魅力を案内する外国語の看板のQRコードを活用して、訪れた外国人旅行者への情報提供を行い、安全確保にも努めてまいります。このほか、現在作成中のハイキングガイドの冊子とウエブサイトにおきまして、道迷いしやすい場所や危険箇所を明示し、安全登山を改めて注意喚起することとしております。

 

 今後も安全に自然環境が楽しめる観光施設の整備に取り組み、誰もが安心して滞在できる上質な観光地づくりにつなげてまいります。


8.果樹農業の振興について

  本県は、生産者のたゆまぬ努力と農業団体等の尽力により、ブドウ、桃、スモモの生産量日本一を誇る果樹王国やまなしとして発展してきました。過日、JA全農やまなしから、昨年度の県産果実の販売額は、ブドウが約二百二十四億円、桃が約百十六億円など、過去十年間で最多となる約三百八十億円に上ったと公表されました。中でもブドウのシャインマスカットが初めて百億円を超えるなど、ブドウの販売額が全体の六割を占めたと聞いております。

 

 県内有数のブドウ産地である私の地元甲州市においても、高価格が期待されるシャインマスカットへの改植が進み、また、全国的にも栽培面積がふえております。さらに、先日、シャインマスカットの無断流出により、中国での栽培面積は、日本の二十九倍にも及んでいるとの報道を目にし、大変驚いたところであります。

 

 こうしたことから、これ以上流通量が増加すると、需要と供給のバランスが崩れ、販売価格が低下するのではないかといった不安の声が聞かれております。経営安定のためには、一つの品種だけでなく、複数の品種を組み合わせて生産することが必要と考えますが、果樹は改植してから収穫できるまでに四年以上の期間を要することから、老木や収益性の低い品種を計画的に優良品種へ転換をしていくことが重要であります。

 

 一方、令和二年の本県の基幹的農業従事者の平均年齢は、全国平均を二歳上回る六十九・九歳となっており、農業従事者の高齢化が進行しています。

 

 果樹栽培においては、高い生産技術が必要であり、これまで先人が培ってきた高度な技術を、新たな担い手へ継承していくことも重要な課題であると考えます。

 

 また、近年、異常気象による大雨や台風などの影響により、ブドウの晩腐病やべと病による生産量の減少も問題となっています。

 

 このような中、峡東地域のブドウ産地を中心として、生産安定に向けた雨よけ施設の導入が進められておりますが、まだ一部の生産者にとどまっていることから、施設導入の加速化が必要であると考えております。

 

 また、昨年八月には、米国産スモモが輸入解禁となり、本年から本格的な輸入が想定されております。さらに本年二月には、米国産桃の輸入解禁要請があり、両国の間で協議が開始されるなど、国内産地のみならず、輸入果実にも対抗できる競争力のある果樹産地づくりが求められています。

 

 そこで、将来にわたる本県果樹農業の維持・発展に向けて、県として、どのように果樹農業の振興に取り組んでいくのか、所見を伺います。

(長崎知事)

 本県果樹農業の維持・発展を図るためには、外国産果実の輸入なども踏まえ、生産・流通・販売までの一連のプロセスを三位一体で高度化し、県産果実の競争力を獲得していく必要があります。

 

 まず、生産面におきましては、国内外で対抗し得るブドウの甲斐ベリー7や桃の夢桃香など、県オリジナル品種を中心とした優良品種への改植を加速して進めるとともに、高品質化と安定生産に向けた雨よけ施設につきまして、本年度は、その効果を生産者に広く周知し、さらなる導入を促進してまいります。

 

 また、新たな担い手に対しまして、アグリマスターのもとでの研修のほか、スマート農業の技術開発による匠の技の見える化によりまして、高度な技術の着実な伝承に取り組んでまいります。あわせて、果樹園地の農作業の効率化と生産性の向上を図るべく、昨年度も十四の地域で区画の拡大や傾斜の緩和など、圃場や農道などの整備を進めており、引き続き基盤整備に着実に取り組んでまいります。

 次に、流通面では、本県は、国内におきましては、大消費地までの輸送に時間を要しないため、新鮮な果実を消費者のもとに届けることができておりますが、他方、海外に向けましては、輸送に時間を要することから鮮度保持が大きな課題となっています。このため県では、品質管理を徹底した輸送体制を整備し、産地から海外の消費者に冷温輸送するコールドチェーンの構築に取り組んでまいります。

 

 最後に、販売面におきましては、「おいしい未来へ やまなし」をキャッチフレーズに、品質の高さに加え、農業分野におけるSDGsの取り組みなど、おいしさの先を行く付加価値の高い県産果実の魅力を積極的に発信してまいります。

 

 既に御案内のとおり、令和三年の県産果実の輸出実績額は、前年の約一・六倍となる十七億六千万円となりましたが、これは、コロナ禍における消費者の動向にいち早く対応し、デジタルとリアルを効果的に組み合わせたプロモーションを実施した成果であると考えております。

 

 本年度は、中国、香港、台湾に加えまして、シンガポールやタイ、マレーシアなどでも展開するとともに、国内におきましても、消費者に対して、山梨県産であることやその山梨県産果実がプレミアム商品であることなどを効果的に発信することにより、ブランド力の強化を図っていきます。

 

 また、さらなる輸出拡大を図っていくためには、新たな販路となります輸出先を拡大していかなければなりません。

 

 そこで、私みずから政府・与党に対しまして、巨大な市場が見込める中国本土ですとか、あるいはベトナムなどの東南アジア地域へのブドウや桃などの輸出解禁に向けた検疫条件の早期設定について、これまで以上に強く働きかけてまいりたいと考えています。

 

 今後も、本県が選ばれる産地として確固たる地位を確立するため、JAなどと連携しながら、生産・流通・販売までの一連のプロセスを三位一体で高度化し、国内外に負けない競争力のある強い果樹産地づくりに積極的に取り組んでまいります。


9.小学校高学年における教科担任制の導入について

 昨年一月の中央教育審議会の答申を受け、文部科学省では、小学校高学年から教科担任制の導入について、本年度から本格的に取り組むこととしています。

 

 小学校では、ほとんどの教科を担任の先生が受け持つ学級担任制による授業が行われていますが、中学校からは教科ごとに先生が代わる教科担任制となるため、学ぶ環境の違いに戸惑いや不安を覚えるという、いわゆる中一ギャップの存在が指摘されております。

 

 小学校高学年における教科担任制への導入は、学級担任の授業準備にかかる負担が軽減されることや、特定の教科を専門の教員が教えることで授業の質が高まり、児童の学びの理解度や定着度の向上につながるといった効果が期待され、小中学校間の円滑な接続にも資するものであります。

 

 私は、数年前、横浜市内の小学校を幾つか視察させていただきましたが、そこでは、学校の実情に応じて専門教員による授業だけでなく、学級担任間での授業の交換など、さまざまな形で教科担任制が行われていました。教科担任制は、子供たちもわかりやすく、理解が深まるような質の高い授業を受けられるなど、教員と児童の双方にとってメリットの大きい、意義のある仕組みであると実感したところであります。

 

 本県では、平成三十年度から外国語の教科に対応するため、専門の教員による英語の専科指導を導入し、児童が英語を使い、コミュニケーション能力を伸ばせるような授業を実践しています。さらに、令和二年度からは、より専門性の高い指導に積極的に取り組む学校を支援するため、理科や音楽などほかの教科にも専科指導を導入してきたと承知しています。

 

 こうした専科指導による教員の負担軽減や児童の学力向上といった効果に着目すれば、本県では教科担任制の本格的な導入に向けた環境が整いつつあるとも言え、私は、今こそ県が先頭に立って、本県の小学校高学年における教科担任制を積極的に推進していくべきだと考えております。

 

 そこで、県では、小学校高学年における教科担任制の意義や推進に当たっての課題について、どのように考えているのか、また、今後どのように教科担任制を推進していくのか、所見を伺います。

(教育長)

 議員御指摘のとおり、教科担任制の導入は、授業の質の向上や小学校から中学校への円滑な接続、教師の負担軽減などの観点から大きな意義があり、国においてもこれを推進しております。

 

 県では、これまでも国の加配教員を活用した専科指導教員の配置や学級担任間での授業の交換、中学校教員による小学校での専科指導といった教科担任制につながる取り組みを進めてきたところであります。

 

 その中で、教科担任制の導入に当たっては、カリキュラム編成に加え、教科担任と児童との信頼関係づくりや学級担任と教科担任との情報共有などが課題となっております。

 

 こうした課題に対応するため、県では、本年度から県内四中学校区、計十四校の小中学校を推進校に指定して、小中学校の連携を図りながら教科担任制に係る調査研究を実施しているところであります。具体的には、専科指導の教科を含めたカリキュラムを編成する際の留意点の整理や専科指導により児童の心理に与える影響の分析、複数教員により指導する際の情報共有のあり方などについて取り組んでおります。

 

 県としては、国の加配教員の活用に加え、各推進校の取り組みや先進県の事例などから得られる知見を生かしながら、積極的に教科担任制の導入を進めてまいります。


10.優秀な教員の確保について

 教員の採用に当たっては、学校の先生になることを目指す多くの方々に志願していただき、その中からよりふさわしい人材を選考することが重要であります。

 

 私は、毎年行われる公立学校教員採用選考検査の実施状況を注視しておりますが、本県における採用倍率の推移を見ると、五年前には、全体で四・七倍であったのが、本年度採用については三・〇倍と大きく低下しております。中でも小学校については、直近二年間の倍率が一・九倍と二倍を下回る厳しい状況となっており、相当な危機感を抱いているところであります。

 

 全国的に見ても、小学校の採用倍率は、平成二十八年度が五・二倍であったのに対し、令和三年度が二・六倍と過去最低となっており、大変厳しい状況がうかがえます。

 

 文部科学省によれば、教員の大量退職や三十五人学級の導入により採用者数が増加しており、都道府県間での獲得競争が繰り広げられていると言える状況にあります。しかしながら、その一方で受験者数も減少しており、中長期的に見て教員のなり手不足の問題が深刻化していると認めざるを得ません。

 

 山梨の将来を担う子供たちの健全な育成を図るためには、質の高い教育を行うための専門的な知識と、人間形成にとって大切な自己肯定感を高めるような豊かな人間性を兼ね備えた優秀な人材に本県の教員になってもらうことが何より重要であります。

 

 本県も全国と同様、大変厳しい状況にあるのは認めますが、それでもなお、私は、教員となるにふさわしい優れた能力や資質を持った多くの方に、本県の教員を志していただけるような取り組みを着実に実施していくことが不可欠であると考えます。

 

 県では、これまでも、教員採用に当たり、選考方法の工夫などさまざまな方策を講じていると聞いておりますが、具体的な取り組みについて県民に広く知られていないのが実情であります。

 

 そこで、県では、公立学校の教員採用に当たり、優秀な教員を確保するため、どのような取り組みを行っているのか伺います。

(長崎知事)

 県では、これまでも、教員採用選考の一次検査について、県内の指定大学からの推薦者や教職経験者に対する免除措置や、指定する資格などを取得した受験者に対する加点措置などの見直しを行ってまいりました。

 

 昨年度からは、初めて受験する小学校教員の受験者を対象に、採用後に一定期間の勤務を条件として、日本学生支援機構の奨学金の返還の一部を支援する制度を実施し、優秀な教員の確保に努めております。

 

 さらに本年度からは、一般の選考検査とは別に、育児または介護を理由にやむを得ず本県の教職を離職したものの、その後、教職への復帰を希望する者を採用する、離職・再採用制度を開始したところです。

 

 県としては、こうした取り組みを広く県内外にPRすることや、高校生、大学生などの若者に教職の魅力を発信していくことが受験者の増加、ひいては優秀な教員の確保につながっていくと考えています。この教職の魅力の発信につきましては、県の教育長を経験した知事政策補佐官が、県内の高校や大学などを訪問して直接語りかける活動なども展開しております。

 

 加えまして、本年度からは、教職のやりがいにつきましてユーチューブやTikTokなどを通じて発信し、また、説明会の参加者に対しましてもメールマガジンの送付を行うなどに努めております。

 

 また、県政情報を深掘りし、わかりやすく外部へ伝える「やまなし in depth」におきましては、全国に先駆けて導入した二十五人学級を取り上げて、本県の充実した教育環境を紹介することなども行っております。

 

 優秀な教員の確保は、未来の山梨を担う子供たちの可能性を最大限に伸ばしていく上で必要不可欠であり、今後も情報発信の強化などの取り組みを積極的に講じてまいります。


11.本県における防犯力の強化について

 県警察の統計によると、本県における令和三年中の刑法犯認知件数は二千七百四十八件と戦後最少を記録し、治安情勢の指標という点においては、おおむね良好な状態にあると承知しております。

 

 しかしながら、県内では、子や孫を思う高齢者の気持ちにつけ込む、オレオレ詐欺を初めとする電話詐欺事件が後を絶たないほか、子供や女性を狙った声かけ事案が現在も多く発生しているなど、県民の体感治安は決して改善されているとは言えないものと考えております。

 

 私は、人が家族を思う気持ちを逆手に取ったり、子供や高齢者などの社会的弱者を不幸に陥れたりするような犯罪行為は、あらゆる手段により未然防止に努めるべきであると考えております。

 

 昨年度実施された県民意識調査におきましては、「県民が期待する県の将来像」という設問に対し、一位の「自然」に次いで「安全」が二位を占める結果となりました。

 

 このことは、暮らしやすい地域づくりを進める上で、「安全」の価値が極めて重要視されていることが改めて浮き彫りになったものであり、良好な治安がその重要な基盤となっていることは言うまでもありません。

 

 そこで、山梨県が強い防犯力を備えた暮らしやすい地であり続けるための取り組みについて幾つか伺います。

(1)防犯カメラの設置促進について

 まず、防犯カメラの設置促進についてであります。

 

 先ほども引用しましたが、令和三年度の県民意識調査によりますと、「安全な社会づくりのために行政に力を入れてほしいこと」という設問に対し、「防犯カメラの設置などによる子供・女性の安全確保や犯罪の未然防止」が最多を占める結果となりました。

 

 私も常々、犯罪を企図する者に犯行を思いとどまらせる抑止効果に加え、事案発生時の早期解決にも、防犯カメラを適切な場所に設置することが大変有効であり、地域住民が安全に安心して暮らせる生活環境の確保に欠かせないものと考えてまいりました。

 

 こうした中、本年度、県警察は防犯カメラの設置を促進するための補助事業を開始したと承知しており、このことは地域の防犯力を高める上で大きな前進であると評価しております。

 

 一方、重要なのは防犯カメラ設置後の機能発揮であり、その有効性を十分生かすためには的確な場所への設置はもとより、適切なメンテナンスによる稼働の確保や運用支援など、継続的・事後的な関与も必要ではないかと考えております。

 

 そこでまず、この補助事業の現在の進捗状況とあわせ防犯カメラ設置の効果を高めるため、県警察として今後どのように取り組んでいくのか伺います。

(警察本部長)

 まず、防犯カメラの設置促進についてであります。

 

 本年度当初予算に計上いたしました、防犯カメラ設置促進補助事業の進捗状況についてですが、県内各市町村に本事業の通知・説明を行ってきたところ、現在までに、市町村や自治体から申請に係る事前相談が八件寄せられてございます。そのうち準備が整った一件の申請を受理いたしました。

 

 今後も、地域の防犯活動に取り組む自治会などに対して、きめ細かい広報活動を行い、設置者を確保してまいります。

 

 次に、防犯カメラ設置の効果を高めるための取り組みについてですが、防犯カメラは、地域住民の身近で起きる犯罪や地域住民が特に不安に感じる子供・女性に対する声かけ事案などの発生防止に役立つよう設置することが大切であると、このように考えております。このため、設置者と調整を図りつつ、例えば、屋外での犯罪が多く発生しているエリアや児童の通学路、不特定多数の者が利用する公園など、高い防犯効果が望める場所への設置に取り組んでまいる所存でございます。

 

 また、防犯カメラの設置に際しましては、設置者が管理規程を定め、機能維持のためのメンテナンスを実施することを補助の条件とし、県警察では、その管理・運用状況について、原則として年一回の確認を行うほか、設置後も、設置者への継続的な運用支援を続けてまいります。

 

 今後も、県民の安全・安心を実現するため、防犯カメラの設置促進に努めてまいります。


(2)優秀な警察官の確保について

 次に、優秀な警察官の確保についてであります。

 

 本県の防犯力を維持・強化を図るためには、先ほど述べた防犯カメラの有効活用のほか、防犯ボランティアや自主防犯団体の活動の維持・活発化など、犯罪は決して許さないという地域の目が身近で光っていることが大切であると考えます。一方、こうした地域的なアプローチに加えて、何といっても重要なのは、防犯や犯罪捜査のプロフェッショナルである優れた警察官の確保であります。

 

 近年の山梨県警察採用試験の応募状況を見ますと、平成二十八年度の千五百三十七人をピークとして減少傾向にあり、昨年度は競争倍率も大きく低下するなど、やや懸念すべき状況にあると思います。少子高齢化の影響で、社会の各界・各層において人材供給が困難な局面を迎えつつある中、防犯カメラやAIなどの先端技術による効率化と補完を図りながら対応することも必要であります。

 

 しかしながら、時にはみずからの危険をも顧みず、県民の安全のために行動し、時には犯罪被害者に寄り添い、血の通った人間力を発揮しつつ職務に邁進する優れた警察官の存在というものは、何にも代えがたいと思います。

 

 そこで、安全な社会づくりに対する県民の大きな期待に応えるべく、資質・能力に優れた警察官を確保するため、県警察としてどのように取り組んでいくのか伺います。

(警察本部長)

 次に、優秀な警察官の確保についてでございます。

 

 議員御指摘のとおり、少子高齢化等の影響により、令和三年度の県警察官採用試験の競争倍率が前年度より低下するなど、県警察においても優秀な人材を確保することが従来より困難になっていくことが懸念されます。

 

 このような中、県警察では、人材広告会社や学校などが主催するオンライン説明会に参加するほか、県警ホームページや就職情報サイトへの採用情報の掲載、若者の目にとまりやすいユーチューブやツイッター等のSNSを活用した採用募集活動を推進しております。

 

 これらに加えまして、都内在住の大学生などをターゲットとした都内における採用説明会の開催、中高生を対象とした警察業務を実体験できるインターンシップ活動、警察学校でのオープンキャンパス、若手警察官がそれぞれの出身校に赴いて採用募集活動を行うリクルート活動などを継続的に実施するなど採用の募集活動も展開しております。

 

 さらに、本年度から、県警受験者に対するアンケートから、受験者が抱えている不安要素でありますとか、県警察に感じている魅力などを詳細に把握して、説明会などを通じて受験者の不安要素を解消した上、県警察で働く魅力をより一層アピールするなど、受験者に寄り添った採用募集活動を推進することとしてございます。

 

 県警察といたしましては、今後も組織全体のリクルート力の向上を図りながら、県民の安全・安心を守る警察官にふさわしい優秀な人材の確保に努めてまいります。


(以上)