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山梨県議会(令和2年11月定例会)・一般質問

1.新型コロナウイルス感染症の新たな診療・検査体制について

 インフルエンザの流行期に備え、11月1日に、かかりつけ医を中心とした新たな相談・診療・検査体制がスタートした。まずは、かかりつけ医の先生方の理解を得ることが大切である。

 

 また、インフルエンザが本格的に流行する1月以降に向けて、さらに多くの医療機関に協力していただく必要がある。リスクを負って診療や検査を行う医療機関に対して、行政がしっかりとしたサポートをすべきと考えるが、県ではどのような支援を行っているのか。

 

 新たな体制では、診療・検査を行う医療機関の名称は公表するのか、少なくとも関係者間で共有することが求められている。本県は、公表をしていないと承知しているが、十分な説明が必要と考える。そこで、診療や検査を行う医療機関名の公表を行わないこととした理由は。

(知事)

 初めに、新型コロナウイルス感染症の新たな診療・検査体制についてです。まず、医療機関への支援についてですが、本県では、新型コロナウイルス感染症が疑われる患者の診療や検査が可能な医療機関として、二百を超える病院や診療所を指定しており、これらの医療機関には、事務負担の軽減や感染対策に対する不安解消などのための支援を行っております。

 

 具体的には、診療体制の確保に要する費用の補助や個人防護具の無償配布などの国の支援に加えまして、県独自に、厚生労働省の情報管理システムG─MISの代行入力や、感染管理の事前研修などを実施しています。

 

 さらに、かかりつけ医が自院で対応できなければ、他院を紹介することになりますが、これが困難な場合には、保健所が受診調整を行うこととしており、紹介元と受け入れ先のいずれの医療機関にも、可能な限り負担が生じないように配慮しております。

 

 次に、診療・検査医療機関の名称の公表についてですが、特定の医療機関に患者が集中することによる混乱や、あるいは風評被害を防止する観点から、公表を行わないこととしております。

 

 ただし、各医療機関では、近隣で対応可能な病院や診療所の情報を共有しており、保健所を介した受診調整も可能であることから、医療機関名を一般に公表せずとも、発熱患者を確実に受診につなぐことができる仕組みとなっております。


2.新型コロナウイルス感染症を踏まえた県立高校の入学者選抜について

 これから寒冷期を迎え、更なる感染者の増加も懸念されているところであるが、先行きが見えない状況にあっても、受験生やそのご家族が不安なく入学検査に臨むにあたって試験実施体制の整備に万全を期す必要性がある。

 

 そこで、県教育委員会として、新型コロナウィルス感染拡大が予断を許さない状況の中で、受験生の不安を解消するため、どのように入学者選抜を実施していくのか。

(教育長)

 県立高校の入学者選抜における新型コロナウイルス感染症への対応については、中学校や高校の現場の声を聞きながら、学力検査の出題範囲を一部縮小するなど、必要な措置を講じております。

 

 また、感染等により、後期募集検査を欠席した受検生に対しては、十四日間の健康観察期間を設けた上で、特別日程での追検査を実施するなど、受検機会の確保に努めております。

 

 一方、先般の高等学校入学者選抜に係る国の通知を受け、家族等の感染により、濃厚接触者と特定された受検生であっても、PCR検査等の結果が陰性で、検査当日も無症状であることなど、一定の要件を満たす場合には、感染防止対策を講じた別室で受検できることといたしました。

 

 さらに、検査会場における感染防止に向けて、検査実施時の衛生管理体制等を定めたガイドラインを年内に策定するなど、受検生一人一人が安心して受検に臨める環境を整えてまいります。

 

 受検生の皆さんには、新型コロナウイルス感染症による未曽有の事態の中ではありますが、自分の可能性や努力を信じ、持てる力を十分に発揮されることを切に望みます。


3.スポーツ大会の開催支援の取り組みについて

 新型コロナウィルス感染症は、スポーツ界に大きな影を落とし、大きな大会が中止を余儀なくされた。スポーツ大会は、観光客の誘致の場、地域の魅力を発信する場として非常に有効であり、県内各地への周遊のほか、再度の来県に繋げられる絶好の機会である。

 

 地域の魅力発信の好機をとなるスポーツ大会の開催を支援することが、本県の発展に繋がると考える。そこで、スポーツ大会の開催支援の取り組みについて伺う。

(スポーツ振興局長)

 スポーツ大会の開催は、議員御指摘のとおり、多くの来県者が期待できるものであり、県が取り組むスポーツによる地域活性化を推進していく上で、有効な手段になるものと考えております。

 

 このため、県では、新型コロナウイルス感染症対策を徹底したスポーツ大会の開催を後押しすることとし、同時に二十人の検温ができる大型サーモグラフィーを主催者に無償で貸し出す取り組みの開始に向け、準備を進めております。

 

 また、オリンピックコースを活用した新たなサイクルイベントの創出を支援し、スポーツ大会の県内開催の促進を図るとともに、このイベントを本県の魅力発信の場としても活用してまいりたいと考えております。

 

 さらに、現在策定作業を行っているスポーツ成長産業化戦略におきまして、本県におけるスポーツツーリズムを担う地域スポーツコミッションの具体化を進めており、今後、この検討を踏まえながらスポーツ大会の開催支援に一層取り組んでまいります。


4.国のGoToトラベルキャンペーン後を見据えた取り組みについて

 GoToトラベルキャンペーンにより、一定の効果が上がっているが、県内のすべての宿泊施設が、あまねく恩恵を受けているとは言えない。このような状況をキャンペーン期間中にしっかりと調査し、今後の施策に役立てることが重要である。

 

 例えば、県内の旅館組合など団体と連携したアンケート調査を実施し、キャンペーンの利用に当たり宿泊施設を選択した理由をリサーチすることにより、消費者が選考する宿泊施設や観光地の特徴を把握するなど、今後の反転攻勢に向けた準備を怠りなく進めるべきだと思うが、県の所見を伺う。

(観光文化部長)

 GoToトラベルなどの観光喚起キャンペーンにより、国内の観光需要は確実に回復基調となっており、宿泊旅行統計調査の宿泊者数の推移からも、県内観光地ににぎわいが戻りつつあると承知しております。

 

 しかし、トラベルキャンペーンの利用実績は全国ベースで公表されるのみで、県内宿泊施設の利用状況については、新聞や報道機関により予約状況の格差等が伝えられておりますが、その実態は把握できておりません。

 

 議員御指摘のとおり、消費者に選ばれる宿泊施設や観光地の特徴を把握することは大変重要であり、トラベルキャンペーンの期間中は、初めて山梨を訪れた方々も含め多くの皆様が来県されており、調査の実施には絶好の機会であると考えております。

 

 このため、県内最大の宿泊事業者団体である山梨県旅館ホテル生活衛生同業組合に御協力いただき、稼働状況などのアンケート調査を実施するとともに、県内各地の観光客にキャンペーンの利用状況や宿泊先を選んだ理由などについて、聞き取り調査を行うことといたしました。

 

 さらに、トラベルキャンペーンに参加登録した県内の宿泊施設を対象に、キャンペーン効果などの調査を実施することとしており、これらの調査から得られたデータをさまざまな観点から分析し、誘客事業を初めとする今後の観光施策の展開に役立ててまいります。


5.新規就農者の定着に向けた支援について

 新規就農者の定着には、就農者が将来の展望を持ち、収益性の高い農業経営を目指し、地域農業の中核として育成できるよう、指標となる経営モデルの「見える化」と、経営感覚の早期習得が必要である。

 

 併せて、高度な栽培技術を早期に身につけるまで、市町村やJAなどが連携して、新規就農者ごとのきめ細かな支援等や地域に根付くためのフォローアップも必要であると考える。

 

 そこで、県では、新規就農者が確実に地域に定着できるよう、どのように取り組んでいるのか。

(知事)

 新規就農者が収益性の高い農業経営に取り組むためには、経営モデルの見える化が重要であることから、県では本年十一月に農業経営基盤の強化の促進に関する基本方針を改定し、経営規模や品目、作型などの組み合わせによります生産量や粗収入等を記載した三十三の経営モデルを示したところです。

 

 県では、この基本方針に基づきまして、普及指導員が新規就農者それぞれの意向に沿った経営計画の策定を支援するとともに、その実現に向けまして、年間を通じて農業技術や経営に関するきめ細かな支援を行い、新規就農者の早期の経営安定を図ってまいります。

 

 また、経営の発展段階に応じて、より高度な経営感覚を身につけられるように、優良事例の紹介や専門家による経営改善セミナーなどを実施し、経営力の向上に向けた個別指導を継続して実施してまいります。

 

 加えて、県外からの新規就農者をフォローするために、これは初めての取り組みとなりますが、先月十六日に普及指導員、先輩就農者を含め約百名の参加のもと、交流会を開催したところ、大変好評であったことから、引き続き新規就農者のネットワークづくりに積極的に取り組んでまいります。

 

 今後も、本県農業の維持・発展を図るために、市町村あるいはJAなどと連携し、新規就農者が高度な栽培技術や経営感覚を早期に習得し、本県農業の担い手として地域に定着できるように取り組んでまいります。


6.消費者保護対策の推進について

 情報通信技術の発達は生活を便利にし、社会経済の発展に不可欠であるが、悪質な消費者被害はもとより、事業者の説明不足や消費者の知識不足から生じるトラブルなど、情報化から派生する負の影響を取り除いていく必要がある。

 

 県民の日常の消費生活を守ることは、安心、安全で心豊かな暮らしの実現につながる大切な取り組みである。

 

 そこで、こうした社会状況の変化を踏まえ、消費者保護の推進にどのように取り組んでいくのか。

(県民生活部長)

 議員から御指摘をいただいたとおり、ネット販売や電子決済の普及など消費形態の多様化が進行し、消費者保護の取り組みはますます重要になっております。

 

 このため、現在策定中の次期消費者基本計画におきましては、高齢者被害の未然防止と若者への消費者教育の充実を重点施策に位置づけ、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

 

 具体的には、高齢者がトラブルに巻き込まれないように声かけなどを行う見守りネットワークを県内全域に拡充していくとともに、被害情報の迅速な提供や市町村との合同事例検討会の開催などにより、身近な市町村におきましても質の高い支援や救済が受けられるよう、体制の充実に取り組んでまいります。

 

 また、成年年齢の引き下げを見据えまして、全ての高校において実践的な消費者教育が行われるよう学校現場の取り組みを支援するとともに、ネットトラブルの防止を主眼とした講座の開催やSNSを活用した情報の提供にも注力してまいります。

 

 今後とも、県民の安全で安心な暮らしを守っていくため、市町村や消費者団体等と連携をしながら、消費者施策を総合的、計画的に推進してまいります。


7.子どもの居場所づくりについて

 児童扶養手当、就学支援などの経済的な支援や、親の就労のための支援等も必要だが、地域社会のつながりが希薄化する中、ひとり親家庭等を社会的に孤立させないようにする支援が非常に重要なのではないかと考える。

 

 ひとり親家庭などには、地域の中に学校でも家庭でもない子どもの第3の居場所というものの存在が大変ありがたいのではないか。

 

 そこで、県では、このような子どもの居場所づくりについてどのように取り組んでいるのか。

(知事)

 新型コロナウイルス感染防止のためのソーシャルディスタンスやテレワークなどの対応は、人々の心の距離をも遠ざけ、個人の孤立化の危険性を高めていることから、さまざまなコミュニティーの強化が重要になっています。

 

 こうした中で、子ども食堂や無料学習塾などの活動は、まずは、子供が安心して利用できる地域の居場所として、また、ひとり親家庭の親子などが地域の人々との交流により、社会から孤立することを防ぐ場所として、その役割が期待されています。

 

 このため県では、これらの活動を県内各地に拡大していく必要があると考え、本年度新たに活動拠点の新設などに対する助成制度を創設するとともに、活動基盤の強化に向けまして、各団体が連携協力する広域ネットワークの構築を支援してまいりました。

 

 こうした取り組みによりまして、現在、県内では子ども食堂が三十カ所開設されており、その半数以上が参加してグループを形成した上で、連携協力しながら地域に根づいた支援が実施されているところです。

 

 しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大によりまして、全ての子ども食堂が休止せざるを得ない状況となってしまったことから、県では、人々のつながりが薄れるこういうときにこそ、子供たちへの支援が必要と考え、再開に向けて感染防止対策の研修、あるいは衛生用品の購入支援などを行ってまいりました。

 

 その結果、十月には都留市の子ども食堂が再開したところであり、こうした事例を他の運営者とも共有を図りながら、多くの団体が活動を再開できるように支援を行ってまいります。

 

 また、今後、無料学習塾などにつきましても、活動状況の調査を行うこととしており、その結果も踏まえながら必要な支援策を講じた上で、子供の居場所づくりが県内各地で展開され、子供たちが健全に成長していけるように、引き続き全力で取り組んでまいります。


【再質問】

 自尊感情や自己肯定感といいますか、それらが学校や家庭でへこんでも、それを挽回できるよう受け入れ、見守り、そして励ましと、学校にもない、家庭にもない、松下村塾のような第三の居場所の存在は、これから大きいものであると思います。

 

 県として、市町村や各種団体との連携の中で、地域の支援体制をぜひ構築していただきたいと思いますが、具体的な体制構築の見通しについて、さらにお伺いいたします。

(子育て支援局長)

 無料学習塾などの子供の居場所におきましては、子供たちが安心して利用しているということで、学校などで相談できないような悩みを打ち明けられることも多いと聞いております。

 

 このような悩みの全てに対しまして、無料学習塾などだけでは支援を行うことは難しいということで、地域の支援機関と連携する中で、それぞれの子供やその家庭の悩みに応じた適切な支援につなげていくことは重要なことだと考えております。

 

 このため、県では、子ども食堂や無料学習塾などの子供の居場所と支援機関である保育所、学校、NPO、社会福祉協議会など、こういうところが参加する地域ネットワークを全ての市町村に構築することを目指しまして、本年度、市町村に対し、専門家を派遣するなどの支援を行っておりまして、本年度中には八割程度の市町村で体制が整うものと考えております。


8.青少年を犯罪から守る取り組みについて

 若者を中心に、大麻の乱用による検挙者が急増している。また、SNSの普及により、青少年を取り巻くインターネット利用環境が一層多様化する中で、SNS上で知り合った相手に、騙されたり、脅されたりして、犯罪に巻き込まれ、被害者となるケースがある。

 

 そこで、県内における青少年のSNSに起因する犯罪被害及び薬物乱用の現状とあわせ、県警察では青少年を犯罪から守るため、どのように取り組んでいるのか。

(警察本部長)

 県内においてSNSに起因する児童ポルノや青少年保護育成条例違反などにより被害者となった少年は、本年十月末現在で六人と、近年増加傾向にあります。

 

 また、薬物乱用に関する少年の検挙として、本県では、昨年五年ぶりに大麻取締法違反により三人を検挙しております。

 

 県警察では、このような実態を踏まえ、これまで関係団体等と連携し、規範意識の醸成と少年を犯罪から守る取り組みとして、小・中・高等学校を中心に、昨年度は延べ四百五十回、六万七千人に対して非行防止教室を開催しておりますほか、街頭補導活動の強化や少年を取り巻く有害環境の浄化などの諸対策に取り組んでおります。

 

 有害環境の浄化に関しましては、ツイッター上の有害な書き込みに起因して被害者となる児童が多いことから、県警察では、このような書き込みに対して被害防止のための警告文を書き込むことにより、警察が目を光らせていると気づかせる取り組みを新たに展開しているところであります。

 

 さらに、議員御指摘のとおり、薬物乱用の低年齢化は、薬物に対する誤った情報や認識が一因と考えられます。

 

 そこで、青少年に対し、薬物の危険性を正しく理解させるため、改めて学校における薬物乱用防止教室の重要性を関係機関と共有し、積極的な開催の働きかけを行いますとともに、若者に親和性の高い情報発信ツール等を活用した啓発活動を行うこととしております。

 

 今後も、犯罪情勢等を的確に分析し、関係機関・団体とも連携しながら、青少年を犯罪から守るための取り組みを強力に推進してまいります。


(以上)