未来ある山梨の子供たちのために!!

山梨県議会(令和6年9月定例会)・代表質問

1.JR中央線の定時性の確保について

 私の地元である峡東地域は、果物やワイナリー、温泉など数多くの観光資源を有し、中央線を軸とする交通インフラにより、東京圏からの誘客に優れた立地環境にあります。

 かつて、私が国会議員の秘書をしていた際には、中央線を利用し、都心と自宅を行き来する生活をしており、都心へ九十分以内という立地は、東京圏への通勤・通学圏域としても、またビジネスの地としても高い可能性があると認識しています。

 一方で、中央線は以前から遅延が多いことで知られております。

 私自身、県議会議員となってからも、中央線を利用し、都心へ行く機会が多い中、この八月には、乗車した特急列車が二時間以上遅延し、人生で初めて特急料金の払い戻しを経験するなど、最近特に遅延が多いと感じています。

 このような状況の中、私は八月三十日に開催されました中央東線高速化促進広域期成同盟会の定期総会に参加いたしました。

 今回の総会では、人身事故の発生や鳥獣との衝突により、三十分以上の遅延が二日に一度の割合で発生し、多大な影響を与えていることから、知事の発案により、定時性の確保がこの同盟会における活動目標の一つの柱として、明確に位置づけられ、同盟会の名称も中央東線高速化促進・定時性確保広域期成同盟会に変更されました。

 また、山梨県内では、遅延の要因として、鹿との衝突が多くを占めていることから、県として衝突防止のための対策を行っていくと、知事から力強い発言もありました。

 私も最近感じていたことではありますが、昨今の中央線の遅延の多さに早急に対応し、沿線自治体をまとめ上げ、先頭に立って取り組まれている知事の姿勢には、深く感銘を受けたところであります。

 知事は、この総会を中央線の定時性確保に向け、JR東日本と沿線自治体が同じ方向を向いて、それぞれができることを最大限行っていくためのスタートとしたいとも話されましたが、私もこの同盟会の参与として全力で協力していきたいと考えております。

 そして、今回の総会を契機に、中央線の遅延状況が大きく改善され、峡東地域をはじめとした本県の観光やビジネス、そして通勤・通学圏域としてのポテンシャルを十分に発揮できることを期待するところであります。

 そこで、中央線の定時性の確保に向け、県は今後どのように取り組んでいくのか伺います。

(長崎知事)

  中央線は、本県と首都圏を結ぶ唯一の鉄道路線でありますが、鉄道輸送の根幹である定時性の確保は重要な問題であります。

 これまでも、中央線では遅延が多く発生していましたが、特に本年六月以降は顕著で、この状況が続くことは、山梨県にとりまして大きな損失であります。

 東京と山梨間の中央線で三十分以上の遅延が発生する主な要因は、都内の人身事故が全体の約五割、山梨県内での鹿との衝突が約二割となっております。

 期成同盟会として遅延の影響を受ける都内の沿線自治体とも連携し、JR東日本に対して、人身事故防止のためのホームドアの設置を強く要望してまいります。

 また、山梨県内では鹿との衝突が年間で約七十件発生し、遅延の主な要因となっているため、県としてはこの対策に注力してまいります。

 具体的には、県内での鹿との衝突件数の約三割を占める大月─笹子駅間において、JR東日本と協力し、本年度、鹿の生態調査を実施いたします。この生態調査で得た知見を基に、来年度は地元自治体と連携し、中央線沿線の鹿の捕獲を進めてまいります。

 県では、これらの取組の端緒として、JR東日本と大月市に呼びかけ、先月二十六日に鹿対策担当者会議を開催し、情報共有や意見交換を行ったところです。

 こうした取組によりまして、中央線の遅延要因を一つ一つ取り除き、鉄道としての定時性が確保されるよう、関係者と連携して努めてまいります。


2.新たなケアラー支援について

 県が七月に公表した令和六年度高齢者福祉基礎調査によると、本年四月一日現在の県内の高齢化率は三一・六%で過去最高となっており、高齢者数がピークを迎える二〇四〇年に向けて、今後も介護の需要はますます高まっていくことが予測されております。

 一方、家族構成が、かつての三世代同居から大きくさま変わりした現在において、家族ケアの在り方は多様で複雑になってきており、介護に係る問題は、高齢の方々御本人だけにとどまらず、働く世代から学ぶ世代まで全ての世代に共通した、社会全体で向き合っていくべき、大変重要な課題であると認識しています。

 県ではこれまでも、介護待機者ゼロ社会の実現を掲げ、特別養護老人ホームの整備や介護人材の確保・定着に取り組まれているとともに、ヤングケアラーや男性ケアラーの問題にも先進的に取り組まれていると承知しており、知事の姿勢を大変力強く感じております。

 家族の介護に直面した場合にも、本来守られるべき県民一人一人の活躍が実現される社会でなければなりません。

 私自身、実際の介護現場に身を置いた経験がありますが、幾つもの家族が困難に直面するさまを目の当たりにしてきました。

 とりわけ認知症の介護に当たる家族の負担やストレスは非常に大きいと感じています。

 精神的な健康を害したり、周囲の理解が得られにくく、相談もできず、家族だけで抱え込み疲弊してしまうケースもありました。

 認知症の家族ケアラーの負担軽減には、施設入所など介護のプロによるサービスの提供が非常に有効ですが、在宅における介護においては、介護のプロからの助言やねぎらいの言葉などの精神的サポートが大変重要です。

 また、同じ境遇にあるケアラー同士が、悩みや経験を分かち合い、情報交換やくつろぎの場を充実していくこと、さらに認知症やケアラーに対する地域社会の理解と支えが必要だと考えております。

 今定例会の所信表明では、知事の力強い決意とともに、本県におけるケアラーの実態を調査し、的確な対策を確立していく旨が示されました。

 認知症介護のケースで私の考えを述べさせていただきましたが、ケアラーの負担軽減を図っていくためには、一人一人の抱える課題や、介護現場の実際の声などを、いかにきめ細やかに把握していくかが肝要であります。

 そして、明らかとなった課題に対し、スピード感を持って対応していくことこそ、県が果たすべき役割であると考えております。

 そこで、今般実施する実態調査について伺うとともに、改めて、今後のケアラー支援の方向性について知事の御所見を伺います。

(長崎知事)

  団塊の世代の全ての方々が後期高齢者となる二〇二五年以降、介護を必要とする人の割合は急速に拡大することが見込まれます。あわせて、少子化により、以前より少ない人数での介護や、場合によっては子育てとの両立も必要となるなど、家族介護は多くの人に降りかかる深刻な問題であります。

 家族介護に伴う離職や介護のために自分が歩みたい道を歩めないなど、ケアラー本人や家族への多大な影響が懸念されます。

 さらに、経済産業省の推計では、二〇三〇年における仕事や介護の両立困難に伴う経済損失額は約九兆円とされ、大きな社会問題とも言えます。このため、ケアラー支援を放置しておけない極めて重要な課題として捉え、様々な施策を講じていく必要があると考えています。

 ケアラーへの支援は、認知症介護をはじめ多岐にわたる課題であり、まずは本県の実情を詳細に把握することは何より肝心であると考えます。

 今般、実施いたします実態調査では、潜在的なケアラーを含め、一人一人が置かれている環境を把握し、ケアラーの抱える課題を明らかにしてまいります。

 加えて、地域包括支援センターなどの支援機関が直面している課題や、企業の従業員に対する支援制度の整備状況など、幅広く調査を行います。この結果を基に、介護離職と企業の支援制度との関係性をはじめ、様々な観点から分析し、エビデンスに基づく実効性ある施策を展開してまいります。

 議員御指摘の認知症介護のケアラーにつきましては、現在、コールセンターの設置や、当事者、家族の交流会の実施などを行っておりますが、調査結果を踏まえまして、さらに有効な対策を検討してまいります。

 また、家族のケアは、事前知識の有無でその後の負担に大きな差が生じるため、各種制度や相談窓口などを一元的に掲載したポータルサイトを構築いたします。さらに、全ての方から頼りにされるポータルサイトを目指し、生成AIによる個々の状況に応じたきめ細やかな対応ができるよう、実証も進めてまいります。

 県民一人一人が自由な選択の下、自らの道を実現できるよう、明日への希望という前向きな思いが代謝され続ける社会基盤を構築していく必要があります。

 今後とも、介護離職ゼロ社会の実現に向けまして、必要な施策はちゅうちょなく進めながら、県民生活の強靱化をしっかりと進めてまいります。


3.人と動物が調和し共生する社会の実現に向けた取り組みについて

 県では、人と動物が調和し共生する社会の実現を目指し、令和二年度に山梨県動物愛護管理推進計画を見直し、犬猫の致死処分を限りなく少なくすることを目標として掲げ、様々な取組を行ってきたと承知をしています。

 その結果、平成二十九年度には五百匹ほどであった致死処分数は、令和五年度にはゼロになり、ついにその目標が達成されました。

 私は、当時、知事がこの目標を公約に掲げた際には、正直、目標達成には若干懐疑的でありましたが、本年六月に、致死処分ゼロの報道に接し、このように早く目的を達成されたことに、非常に驚いた次第であります。

 この目標が達成できたのは、捕獲し、不妊去勢手術を行い、元の場所に戻すTNR活動や、動物愛護指導センターの譲渡に協力されているボランティアの皆様方や、人と動物との共生を公約に掲げ、これまで力強く施策を進めてこられた知事をはじめとした関係者の皆様の熱意と御尽力のたまものであり、深く感謝し、敬意を表する次第であります。

 先日、私は、実際に犬猫の譲渡を行っている動物愛護指導センターを見学させていただきました。

 職員の方からは、限られた施設・設備の中で、できる限り犬猫が快適に過ごせるよう手作りで設備を改築したり、一匹一匹に名前をつけて愛情を持って接しているといった話を伺いました。

 県として動物との共生社会の実現に懸命に取り組んでいることを、改めて、実感したところであります。

 しかしながら、センターの話では、飼い主のない猫から生まれた子猫など、センターに収容される子猫は、依然として、二百匹に上るとのことでありました。

 こうした状況を考えますと、県として、引き続き取組を進めていかなければ、再び、飼い主のない猫が増え、これまで減少してきた飼い主のない猫の引取数も増加に転じ、最終的には致死処分ゼロも維持できなくなってしまうのではないかと懸念をしております。

 そこで、人と動物が調和し共生する社会の実現に向け、今後どのように取り組んでいくのか御所見を伺います。

(長崎知事)

  飼い主がいない猫の増減につきまして、市町村などに聞き取り調査を行ったところ、十一の市町村では減少しましたが、約半数では変化がないとの回答でした。

 猫は非常に繁殖力が高いことから、致死処分ゼロを継続するには、引き続き無秩序な繁殖や飼養放棄を防止していく必要があります。このため、引き続き飼い主のいない猫の不妊去勢手術により、無秩序な繁殖を防止する取組を推進していくほか、動物愛護デーや飼い方教室などを通じまして、適正飼養を普及してまいります。

 また、動物愛護指導センターでは、依然として多くの猫を引き取っていることから、収容した猫の譲渡に一層取り組むことも必要です。センターでは、譲渡ボランティアと連携し、新たな飼い主を探すほか、多くの方に関心を持っていただくため、三月に専用のポータルサイトを開設いたしました。

 このサイトでは、譲渡の流れや動物個々の特徴、様子の動画、飼養の心構えなどを掲載し、ペットとの暮らしを望む方に具体性のある情報を発信していきます。

 また、人慣れしていない動物でも、譲渡希望者の方に迎え入れてもらえるよう、一匹一匹愛情を込めてトレーニングを行っています。

 さらに、市町村や地域とともに飼い主のいない猫の見守り活動の活発化や、県民への動物愛護の普及に取り組むことで、動物との共生社会を実現してまいります。


4.ワイン産業の振興について

 私の地元である甲州市は、明治初期にワイン醸造が開始され、まさに発祥の地であり、常に本県のワイン製造をリードしてきました。

 そして現在、本県のワイン産業はワイナリー数、生産量ともに全国一となり、全国に名立たる一大産地として本県が誇る代表的な産業となっています。

 こうした国内を代表する産地である本県で毎年七月に開催され、本年で二十回を迎えた日本ワインコンクールは、日本ワインに限定した国内唯一のコンクールとして、今や全国のワイナリーの目標となっています。

 今回のコンクールでは、全国及び国内からの出品数、ワイナリー数とも過去最多となり、海外から招いた審査員からも、その品質を高く評価されたと伺っております。

 本県のワインも多くの賞を受賞し、銅賞まで含めた受賞数では全体の三割を占め、県別で見るとトップとなっており、県内ワイン産業の裾野が着実に広がってきていると感じています。

 また、世界最大級の出品数を誇るデキャンター・ワールド・ワイン・アワード二〇二四において県内ワイナリーが日本からの出品で初となる上位五十点のみが選ばれる最高賞を受賞しました。

 昨年のプラチナ賞に続く快挙であり、国際的にも山梨のワインに対する評価は年々高まっております。

 一方で、産業としての面で見ますと、国内の成人一人当たりのアルコール消費量は、平成四年度をピークに減少傾向にあります。

 また、輸入ワインの人気も根強く、国内ワイン消費量の三分の二を占めるなど、このままでは、山梨のワインが飲まれなくなってしまうのではないかと危惧しております。

 本県のワイン産業がこれからも持続的に発展していくためには、幅広い販路の獲得のための取組が必要です。

 また、新しい顧客獲得に向けては、環境への意識が高まる中、進展が期待される有機ワインについても有力なテーマになるものと考えます。

 さらに、長野や北海道といった他産地の台頭が著しい中、一層の品質向上を図るため、産業技術センターワイン技術部の役割にも期待が高まります。

 そこで、本県ワイン産業の振興に向けて、県はどのように支援していくのか伺います。

(長崎知事)

  ワイン産業の振興に向けましては、生産、流通、販売の各段階の取組において、不断の向上を図り、本県ワインのブランド価値を高めることが重要であると考えております。

 品質の高い原料の生産に向けましては、生産性や糖度が高い甲州種に加え、本年、秋から着色に優れる赤ワイン用の新品種、ソワノワールの苗木供給を開始いたします。

 醸造につきましては、産業技術センターにおいて、県産ブドウに適したスパークリングワインやブレンド白ワインの醸造技術を開発し、製品化に至っております。

 流通・販売の強化に向けましては、ジャパンワインのセンターとしてのプレゼンスの確立を図るため、本県において、日本ワインサミットなどを開催しております。

 さらに、県庁内に美酒・美食タスクフォースを編成し、食との相乗効果により、消費者などへの訴求力の向上に取り組んでおります。

 その一環といたしまして、県産ワインと各国料理とのマリアージュイベントを通じ、当該国への輸出展開を見据えた取組を実施しています。

 また、これまで産地組合のロンドン販促活動を支援しており、甲州ワインの国際化には一定の成果がある一方で、輸出量には課題があり、対策が必要であると考えています。

 そこで本年度は、外部アドバイザーの助言を得て、試飲相談を、多くの来訪者がある外務省ジャパン・ハウスで行うなど、可能なところから改善を図っていきます。

 さらに、英国以外にも視野を広げ、アジアなど、世界各国の消費動向を調査・分析した上で、新たな戦略を策定し、甲州ワインの販路拡大につなげていくことといたします。

 このほか、環境意識の高まりに伴い、ワイン市場でもエシカル消費が年々広まっていることから、議員御指摘の有機ワインは有望な開拓先と考えられます。

 一方で、EUへの輸出基準などは未確立といった課題も存するため、先進県として議論を加速すべく、国や事業者を交え、研究会を立ち上げることといたします。

 さらには、中東などの市場開拓を視野に、ノンアルコールのハラルワインの振興策についても、ワイナリーと協議しながら進めてまいりたいと考えております。


5.アーバンスポーツの振興について

 八月十二日に閉幕したパリオリンピックには本県ゆかりの選手が出場し、レスリングでは、グレコローマンの文田健一郎選手が悲願の金メダルを、卓球女子団体では、平野美宇選手が二大会連続の銀メダルを、柔道女子では、舟久保遥香選手が個人で銅メダル、団体で銀メダルを獲得するなど、大いに活躍され、県民の一人として誇りに感じているところであります。

 本県出身の選手が世界の舞台で活躍していることは、県が推進するジュニア期から一貫した指導体制による取組が実を結んだものと大変うれしく思っています。

 現在、県では、小学生を対象とした、未来のトップアスリートを発掘する事業として甲斐人の一撃を実施していますが、この事業をさらに充実させ、将来、オリンピックで活躍する選手がたくさん輩出されることを期待しています。

 また、今回のオリンピックでも、東京五輪で正式種目となったスケートボード、スポーツクライミングなどに加え、スポーツとストリートカルチャーが融合したブレイキンが正式種目として採用されるなど、アーバンスポーツが盛り上がりを見せております。

 特に、スケートボードとブレイキンは、日本の選手が金メダルを獲得したことにより、今後、これらの競技を始めようとする子供たちや、競技を見てみたいと思う人たちがさらに増えてくるのではないかと思います。

 スケートボードで金メダルを獲得した吉沢恋選手は、地元相模原市の公園にあるスケートボードパークで技術を教えてもらい、東京オリンピックで金メダルを獲得した西矢選手の大技、ビッグスピン・フロントサイド・ボードスライドを、当時小学校五年生で既に習得していたとニュースで目にしました。

 こうした話を耳にすると、身近な地域にアーバンスポーツを楽しむ場所があることが大変重要であると思います。

 また、アーバンスポーツには、見るスポーツとして、多くの人々を呼び込む魅力があり、地域の活性化につながることも期待されているところであります。

 他県では、ブレイキンの大会を開催して、国内外のダンサーによる熱いバトルを繰り広げ、多くの観客を集めたと聞いています。

 このような中、本県でも、今、大きく注目を集めているアーバンスポーツをますます盛んにする取組を進める必要があるのではないかと考えます。

 そこで、アーバンスポーツの振興に向けて、どのように取り組んでいくのか、伺います。

(長崎知事)

  アーバンスポーツは、トレーニングセンターなどに行かなくても、町なかで楽しめ、従来のスポーツとは異なる層を取り込み、裾野の拡大に寄与いたします。また、ファッション性やエンターテインメント性が高く、観衆を魅了し、引き込むことで、にぎわいの創出にもつながります。

 パリオリンピックでは、町なかのコンコルド広場でアーバンスポーツを人々が楽しみ、交流する様子が報道され、改めて、その可能性が示されたと考えています。

 県では、今年六月に全国で初めて県庁噴水広場をスケートボードのプレイエリアとして開放し、初心者や愛好者に楽しんでいただいております。

 今後は、訪れた方がより楽しめるよう、競技団体と連携しながら、体験会やスキルアップ講習会などを積極的に開催してまいります。

 また、今月十四日には、県の全面的な支援によりまして、本県では初めてとなる大規模なブレイキン大会が甲府駅北口で開催されます。この大会では、県内外から参加する選手の対戦のほか、著名なゲストダンサーによるエキシビションマッチやブレイキン体験会なども行われます。

 さらに、会場全体を国内トップクラスのDJが盛り上げるとともに、キッチンカーやグッズ販売など多数の出展を予定しており、大きなにぎわいを期待しております。

 こうした県の取組に対しまして、市町村から多くの問合せがあることから、県内各地でアーバンスポーツが継続して進行されるよう、連携を深めてまいります。


6.峡東地域の幹線道路整備について

 本県は、中部横断自動車道山梨─静岡間の開通により、首都圏だけでなく東海・中京地方からのアクセスも向上し、年間を通じて国内外から多くの方々が訪れています。

 特に、世界農業遺産に認定された峡東地域は、果樹農業が盛んで、観光果樹園やワイナリーが数多くあり、これから迎える秋の観光シーズンには、多くの観光客がフルーツ狩りやワインツーリズムを目当てに訪れることが期待されます。

 この地域には、首都圏と本県を結ぶ中央自動車道や国道二十号、また北関東地域につながる西関東連絡道路など、経済活動や観光振興の基盤として大きな役割を果たす骨格道路があります。

 しかし、これら骨格道路が充実している一方で、山梨市や甲州市は、笛吹川やJR中央線によって地域が分断されていることから、ヒトやモノの流れを潤滑にする道路ネットワークの形成が課題となっています。

 このため、この地域と中央道をつなぐルートとなる国道四百十一号をはじめ、県道の休息山梨線や山梨市停車場線の整備が県によって進められております。

 一方、西関東連絡道路方面に目を向けますと、甲州市中心部から西関東連絡道路へのアクセスは、向嶽寺から岩手橋を通り岩手ランプへ向かうルートが最短ですが、この道路は幅員が狭い上に見通しも悪く歩道もありません。

 このため、対向車と擦れ違うには注意を払わなければならず、大変走りづらいことから、走行性の向上や安全性の確保が求められています。

 この区間の整備につきましては、令和二年に知事へ要望書が提出されておりますが、先月二十七日にも地元市長から再度要望書が提出され、私も同席させていただく中で、この道路の必要性を知事に強くお伝えしたところであります。

 私は、峡東地域の産業や経済を発展させるとともに、観光振興を図っていくためには、甲州市中心部と西関東連絡道路とのアクセスの強化が必要であると考えます。

 そこで、甲州市と西関東連絡道路の岩手ランプをつなぐ道路整備について、県の御所見を伺います。

(長崎知事)

  県では、峡東地域の道路ネットワークを強化するため、峡東三市と勉強会を立ち上げ、課題や整備すべき道路などについて検討してまいりました。

 この勉強会におきまして、甲州市中心部から西関東連絡道路へ向かうルートはアクセス性に課題があり、その強化を図る必要があると確認したところです。

 議員御指摘の岩手ランプからのルートは、国道四百十一号を介して中央道へつながる幹線道路となることからも、新たな道路整備が必要と考えています。整備に向けまして、この道路が地域の円滑な交通確保と市街地の形成を担っていくことから、まずは新たに都市計画道路に位置づけることが重要であると考えます。

 今後は、県が主体となって、具体的なルートや構造などの概略設計を進めてまいります。山梨市や甲州市と役割分担について協議を進め、両市と連携しながら早期整備に取り組んでまいります。


7.クマの出没対策について

 本県は、世界文化遺産富士山をはじめ、八ヶ岳、南アルプス、奥秩父の山々など、四方を国内屈指の名峰に囲まれた豊かな自然環境を有しており、様々な野生鳥獣が生息しています。

 中には、鹿や猿など農林業に被害をもたらす野生鳥獣も多く、私の地元、甲州市においても、特産の果樹や家庭菜園での食害が後を断たず、住民の悩みの種となっています。

 また、近年、新たな社会問題となっているものに、農地や住宅地など、人の生活圏に熊が出没し、安全な住民生活を脅かしているというものがあります。

 昨年度は全国で過去最多の出没・目撃件数を更新するとともに、東北地方では人身被害が過去最多となるなど甚大な被害が発生しており、本年度はさらに深刻な状況になっていると伺っています。

 本県でも連日のように新聞やテレビなどで報道されていますが、熊の出没・目撃情報は多くの地域から寄せられており、その件数は過去最多を大きく更新する見込みとのことであります。

 また、七月に身延町の登山道で男性が熊に襲われるという、本年度県内初の人身被害が発生しました。

 これから、本格的に秋の行楽シーズンを迎え、ハイキングや紅葉狩りなど、多くの人が山に入ることが予想されます。

 一方、熊も冬眠を控え、活動が活発化しますので、熊と人との遭遇がこれまで以上に増えていくのではないかと大いに懸念するところであります。

 私は、人の生活圏への熊の出没が急速に増加している中、熊による人身被害を防ぐためには、住民一人一人が熊に関する正しい知識を持つことが肝要と考えます。

 そのために、これまで以上に、県が主体となって、分かりやすい情報を住民へ発信し、注意喚起を行っていく必要があります。

 そこで、今般の状況を踏まえ、県では熊の出没に対して、どのように取り組んでいくのか伺います。

(環境・エネルギー部長)

 県では、熊に対する正しい知識を持ってもらえるよう、これまでラジオスポットや新聞広報などを活用し、入山の際の注意喚起を行ってまいりました。

 一方、熊の目撃情報が過去最多の状況に加え、秋の行楽シーズンを前に、多くの方が野山に入る機会が増えることから、新たな対策を講じることといたしました。

 まず、市町村からの情報を基に、目撃情報があったその日に注意喚起を行えるよう、先月十日から新たにXによる情報発信を行っています。これにより、出没場所を迅速かつ広範囲に周知できることから、県民や観光客などに対する注意喚起の効果が格段に上がるものと期待をしています。

 また、さらなる注意喚起に向け、熊の出没頻度が高い地域について一目で確認できるよう、来月を目途に、熊の全県出没マップを作成、公開してまいります。平時からマップを確認することにより、改めて目撃情報の多い山は避けるという熊対策の大原則について御認識いただけるものと考えています。

 引き続き、市町村と連携し、分かりやすい注意喚起に努め、熊による人身被害の防止に取り組んでまいります。


8.学校の運動部活動の地域クラブ活動への移行の更なる推進について

 私は、中学校の部活動では柔道に打ち込み、仲間と切磋琢磨し、協調して物事に取り組む大切さを学びました。

 また、高校時代にはウエイトリフティングに熱中し、大学進学後、さらには社会人になってからもこの競技を続け、日本代表としてアジア選手権で表彰台に上がることができました。このことは、私にとってかけがえのない財産となっています。

 学校の運動部活動は、体力や技能の向上、豊かな感性の育成以外にも、自己肯定感や責任感、連帯感の涵養に資するほか、困難に直面した際に自らの力で乗り越えるレジリエンス、適応して立ち直る力を育むなど、教育的意義を有しています。

 しかしながら、少子化が進展する中、学校部活動をこれまでと同様の体制で運営することは困難になりつつあります。

 このため、国では学校部活動の役割の重要性に鑑み、その継承に向けて、地域の子供たちは、学校を含めた地域で育てるとの認識の下、学校部活動の地域クラブ活動への円滑な移行への方針を示されたところであります。

 こうした中、県内では、昨年十二月に学校部活動及び地域クラブ活動に関する新たなガイドラインを策定し、学校部活動の地域クラブ活動への移行について、市町村における体制整備を促す取組を積極的に行っているものと承知をしております。

 他方で、この地域移行という前例のない取組は、多くの課題があることも理解しています。

 地域移行の受皿づくりは、市町村の役割とされておりますが、市町村によっては地域移行への熱量に違いがあり、取組のスピードに差が見られるとの話も耳にします。

 また、どのような指導者を確保するのか、地域クラブとして大会参加ができるのかなど、地域移行のイメージがつかみづらいといった声も少なからず聞かれます。

 私の地元の甲州市も含め、県内市町村では地域移行に向けて御尽力いただいていることは承知していますが、多くの市町村ではマンパワーが不足していることなどから、移行対応が必ずしも円滑でない状況が見てとれます。

 改革推進期間の折り返しを迎えている中、私は、県内の子供たちが自分のやりたい運動ができる環境を整えるため、市町村における体制整備を早急に進めることが喫緊の課題であると考えます。

 そこで、市町村が地域クラブ活動の体制整備を推進するために、県が一層の指導力を発揮することを期待したいと考えますが、御所見を伺います。

(教育長)

 少子化による学校部活動の縮小に伴い、子供たちの休日の運動環境につきましては、これまでの学校単位から地域単位に移行することが求められております。

 このため、県では、令和五年度から七年度までの三年間を地域クラブ活動に移行するための改革推進期間と定め、市町村に対して様々な支援を行ってまいりました。しかしながら、議員御指摘のとおり、市町村によっては、地域クラブ活動への移行に向けた体制整備がスムーズに進んでいないことも承知しております。

 地域クラブ活動への移行を加速するためには、市町村が地域の関係者と合意を図りながら、より主体性を持って取り組んでいただくことが重要であります。

 そこで、県では、全ての市町村を訪問し、地域の実情に応じて可能な限り早期に地域クラブ活動へ移行することを強く働きかけてきたところです。

 また、改革推進期間の折り返しとなる本年度中には、各市町村における地域移行へのゴールイメージを明確化するよう、先般、要請したところであります。

 さらに、全ての市町村において、令和八年度から少なくとも一種目は地域クラブ活動が開始できるよう、年内までにロードマップを策定することを求めました。

 加えて、市町村における迅速な体制整備を支援するため、人材育成研修会や県外への先進地視察、模擬クラブ体験などの事業を展開してまいります。

 本県の全ての子供たちがスポーツ活動に継続して親しむ機会を確保できるよう、県としても、引き続き、地域クラブ活動への体制整備を全力で支援してまいります。


9.不登校対策について

 昨年十月に文部科学省から不登校の状況調査結果が公表されました。

 これによると、本県では、令和四年度に三十日以上欠席した児童生徒数は小学校で六百八十六人、中学校では千二百十三人、そして高等学校では百五十五人の、合計二千五十四人と、過去最多を更新しました。

 また、不登校児童生徒のうち、三人に一人が学校内外のどこにも相談支援を受けていないとのことであり、私は、不登校児童生徒の学びにアクセスする機会が十分でなく、社会とのつながりが希薄となっていることを大変憂慮しています。

 こうした中、先般、民間主催の山梨県不登校フォーラムが開催され、不登校の経験者によるパネルディスカッションや、保護者や教員、フリースクール関係者による意見交換が行われたとの記事を目にしました。

 私の知っているフリースクールにおいては、心のエネルギーが回復できるよう、自然の中で様々な体験活動ができる機会を子供たちに提供しています。

 また、別のフリースクールでは、学習内容を重視しており、フリースクールといっても、理念や活動内容は様々であります。

 多様な子供の特性に応じた教育が注目されている中、私は、フリースクールの果たす役割に大いに期待しているところであります。

 フリースクールが子供たちの学び場として、児童生徒やその保護者の期待に応えられるよう、学校、行政とフリースクールとの連携を強化していくべきと考えますが、県の御所見を伺います。

 また、子供が不登校になった家庭からは、子供が何を思っているのか分からない、どのような声かけをしたらよいのか分からないなど戸惑いの声も聞かれています。

 不登校は、どの家庭にも起こり得るものであり、児童生徒への支援だけでなく、家庭の不安が少しでも和らぐように、保護者への支援も重要であると考えます。

 そこで、不登校になっている児童生徒の保護者への支援について、県の御所見を伺います。

(長崎知事)

  不登校児童生徒を支援していく上で、行政、学校、フリースクールなどの民間団体が相互に連携を図ることは極めて重要であると考えています。しかしながら、これまでは行政、学校とフリースクールとの連携は必ずしも十分ではなく、子どもの活動の様子が互いに共有されてきませんでした。

 そのため、県では、市町村教育委員会とフリースクールとの意見交換の場を設け、学校との連携も含む児童生徒への支援方法について検討を進めてまいりました。

 この検討結果を踏まえまして、去る八月にフリースクールへの出席を学校での出席扱いとして認定するためのガイドラインを策定したところです。

 このガイドラインでは、学校と市町村教育委員会によるフリースクールへの訪問や定期的な情報交換などを出席認定の要件としており、連携強化が期待されます。

 また、議員御指摘のとおり、不登校児童生徒を支援するためには、保護者への心理面でのサポートも重要であります。そのため、県では、不登校児童生徒の保護者向けのセミナーを開催するとともに、保護者同士が交流する場を設け、孤立しがちな保護者への支援を行っていきます。

 本年度からは新たに心理士による終日対応の電話相談を開始し、面接相談と併せて保護者の悩みに寄り添う相談支援体制を強化したところです。

 こうした取組を通じまして、関係機関との連携強化を図りながら、不登校児童生徒の可能性を伸ばすべく、引き続き、学びの支援に取り組んでまいります。


10.いじめ対策について

 平成二十五年にいじめ防止対策推進法が施行されて以降、いじめの積極的な認知が進んでおり、いじめの認知件数は全国的に増加の傾向にあることを承知しています。

 本年六月に、県内の小中学校におけるいじめに関する実態調査結果が公表されました。

 この調査結果によると、令和五年四月から十二月までのいじめの認知件数は六千九百五十六件であり、前年同期に比べ六・三%の増となっています。

 増加要因としては、コロナ禍の影響で学校生活が制限されたことにより、子供たちが人間関係の構築に不慣れになっていることなどの事情があると思われます。

 いじめは、いじめを受けた児童生徒の教育を受ける権利を侵害し、その心身の健全な成長や人格の形成に影響を与えるのみならず、その生命または身体に危険を生じさせるおそれがあります。

 また、いじめが深刻化したケースでは、いじめによるトラウマがPTSDなどを引き起こし、長い期間苦しむ場合があることも伺っています。

 そのため、初期段階のいじめを見逃さず、積極的に認知することは、その解消に向けたスタートラインに早く立つという観点から、私は、認知件数の増加について必ずしも否定的に捉えてはいません。

 私は、学校は児童生徒が安心して楽しく通える場所であってほしいと思います。子供たちを取り巻く環境が大きく変化する中、最近のいじめ問題は、複雑化・多様化しており、従来の学校内の教職員による対応だけでは解決が難しい問題が増えているのではないかと思います。

 こうしたことから、学校は迅速かつ適切に対応するため、専門家や関係諸機関の力を借りることにより、それぞれの専門性を生かし、いじめ問題に対処していくことが重要であると考えます。

 そこで、積極的な専門家の活用も含め、いじめ対策に関する県の取組について伺います。

(長崎知事)

  いじめはどの子にも起こり得ることであり、子供が安心して学校生活を過ごすためには、いじめを早期に発見し、対応することが重要であります。県内の公立学校では、子供が周囲に助けを求めることができるよう、SOSの出し方に関する教育を実施しています。

 あわせて、子供のSOSに適切に対応していくために、県では、教員研修を開催していますが、今後はSOSの受け止めに関するワークショップ型の研修を増やすなど、さらなる研修の充実を図ることとしています。

 いじめの背景には、家庭や生活環境などの複雑な要因があることから、学校では、いじめに対して多様な専門家と連携しながら、組織的に取り組んでおります。

 例えば、全小中学校に心理の専門職であるスクールカウンセラーを配置し、子供や保護者の心の悩みに寄り添う教育相談を行っています。また、スクールソーシャルワーカーを学校に派遣し、福祉の専門性を生かして、家庭と福祉、医療、警察などをつなぐ多面的な支援を行っております。

 加えて、本年度からはスクールロイヤー制度を導入し、いじめ対応が深刻な状況になる前に、学校が弁護士に相談できるよう、体制を整えたところです。

 スクールロイヤーにつきましては、制度開始から約半年間が経過する中で、多くの学校が活用しており、弁護士の法的助言が参考になったとの声が届いています。

 全ての子供が安心して学校生活を送れるよう、今後も専門家を積極的に活用するなど、いじめ対策にしっかりと取り組んでまいります。


11.本県におけるストーカー事案の現状と対策について

 ストーカー事件に関しまして、全国では、つきまとい行為を受けた被害者が、加害者に殺害されるという非常に痛ましい事件が発生しているところであります。

 本年五月には、東京都新宿区のタワーマンションにおいて、居住する女性が、男性に刃物で刺されて死亡するという事件が発生しております。

 この種事件では、警察が相談を受理し、被害者等の安全を確保する対策を講じても被害者等の関係者に危害が及ぶ、あるいは事態が長期化する等のケースがあり、対応する警察としても苦慮しているものと察しているところであります。

 一方、県内に目を向けますと、本年六月には、被害者の女性が勤務する職場に押しかけた男を警察が逮捕したとの報道もありました。

 こうしたストーカー事案を見聞きしますと、加害者の一方的な感情により、被害者の自宅や職場への押しかけ行為に及んだり、SNS等、発信手段を用いて、執拗にメッセージを送ったりしているほか、最近では、GPS機器を用いて被害者の居場所を探るなど、つきまとい行為を繰り返し、被害者に大きな不安と恐怖を与えております。

 これらの行為は非常に卑劣な行為であり、私といたしましても、何とかこうしたケース、こうしたストーカー事件を抑止することはできないだろうかと感じているところであります。

 このようなストーカー事案は、いつ、どこで発生するのか分かりません。本県においても例外ではなく、人が人に好意を抱く感情がある以上、ストーカー事案は発生する可能性があると思います。

 私は、県民の皆様がこの種事案を一人で抱え込むことなく、家族や友人のほか、警察等の関係機関に相談することが、自分の身を守ることにつながると考えます。

 その上で、警察では、様々な形で被害の防止を図るべく対策を講じられており、被害者にも協力を求めながら、寄り添った対策を行っていると思います。

 そこで、本県におけるストーカー事案の現状と、被害者等が最悪の事態とならないために県警察で取り組んでいる対策について伺います。

(警察本部長)

 本年の県内におけるストーカー事案の認知件数は、八月末現在八十九件で、前年同期比と比べ四件減となっております。

 ストーカー事案は恋愛感情やそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情等から、付きまとい等を繰り返すもので、重大事件に発展するおそれもあります。

 県警察では、被害者の安全を最優先に考え、ストーカー行為等の規制等に関する法律に基づく、加害者への警告や禁止命令、さらには事件検挙を推進しています。

 また、被害者に緊急通報装置を貸与し、発報時には、警察官が即座に駆けつけられる体制を構築しております。このほか、必要に応じ、被害者に一時的な避難を勧める場合もあります。

 県警察では、今後とも的確な加害者対策と被害者の意向を尊重した適切な保護措置を講じ、被害者の安全確保に努めてまいります。


12.飲酒運転の現状と根絶に向けた取り組みについて

 九月三日付の読売新聞に、本年五月に群馬県の国道で飲酒運転のトラックが対向車線にはみ出し、乗用車の家族三人が亡くなるという痛ましい交通事故が発生し、その遺族が飲酒運転の根絶を訴える記事が大きく掲載されました。

 県内においても、飲酒運転による交通事故の記事を度々目にします。

 飲酒運転は、重大な交通事故に直結する極めて悪質で危険な行為であり、その根絶が安全で安心な交通社会の実現に必要不可欠であることは間違いありません。

 これまでも警察による飲酒運転の取組や県、市町村、民間企業などが連携した飲酒運転の根絶活動など、官民を挙げての飲酒運転対策が進められ、成果も得られていることに対し、県民の一人として、その御労苦に感謝申し上げます。

 私の地元甲州市では、特産のワインを試飲できる甲州市かつぬまぶどうまつりが、まもなく開催されます。

 このイベントには、例年、県内外から多くの方が足を運ばれておりますが、地元警察署と連携して、飲酒運転禁止看板の設置やハンドルキーパーの徹底を呼びかけるなど、飲酒運転防止対策を推進しているところです。

 一方で県内では昨年、人口十万人当たりの飲酒運転による人身事故が全国ワースト二位という不名誉な結果になったと聞き及んでいます。

 山梨県は、車への依存度が高いということも飲酒運転の要因と考えられますが、根本にあるのは、飲酒運転に関する規範意識の低さにあり、いまだ飲酒運転に対し甘く考えている風潮が払拭されていないと思われます。

 飲酒運転は、被害者と加害者の双方が人生を狂わせることは当然のこと、それぞれの家族の人生をも大きく狂わせてしまうものです。

 このような、悪質で、危険で、多くの人々の人生を狂わせてしまう飲酒運転による交通事故は、発生件数を減らすのではなく、ゼロにしなくてはなりません。

 何よりも県民一人一人が飲酒運転を絶対にしない、させない、という共通意識を持つとともに、そのような環境を一層醸成していくことが大切であると考えます。

 そこで、本県における飲酒運転の現状と、飲酒運転の根絶に向けた県警察の取組について伺います。

(警察本部長)

 本年の県内の飲酒運転による人身交通事故は、八月末現在で十九件であり、前年同期比で七件減少しております。これを人口十万人当たりに換算しますと、八月末現在二・三九件で、昨年同期の三・二四件より改善しておりますが、全国ではワースト三位であります。

 県警察では、昨年から時間や場所を限定しない県下一斉検問等による取締りを行っており、本年は八月末現在二百三人を飲酒運転で検挙しております。また、酒類提供店に対しては、飲酒運転の防止を呼びかける啓発ポスターの掲出などを、関係団体と連携して依頼をしております。

 さらに、昨年十一月から、飲酒運転の違反者の年齢、性別、業種等、属性に関する分析結果を県警察のウェブサイトに掲載し、適宜更新しております。

 この違反者の属性分析の結果を踏まえ、安全運転管理者協議会等の関係団体と連携し、官民一体となって重点的な指導を継続的に行っております。


(以上)